個人向け危機管理ガイド

経済危機に負けない資産形成:初心者向け積立投資の始め方

Tags: 積立投資, 資産形成, 初心者, 経済危機対策, ドルコスト平均法

経済危機と聞くと、多くの方が不安を感じるのではないでしょうか。将来への漠然とした心配が募り、「資産形成なんて今は無理なのでは?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、このような不確実な時代だからこそ、中長期的な視点での資産形成、特に「積立投資」について考えることが重要です。

このコラムでは、経済危機下でも慌てずに始められる、初心者向けの積立投資の基本と始め方について解説します。

積立投資とは?初心者でも始めやすいその仕組み

積立投資とは、毎月決まった日に、決まった金額で、特定の金融商品(投資信託など)を買い続ける投資方法です。大きな金額を用意する必要はなく、少額から始めることができます。

この方法の大きな特徴の一つが、「ドルコスト平均法」の効果が期待できる点です。ドルコスト平均法とは、価格が高い時には少なく買い、価格が安い時には多く買うことになるため、平均購入価格を抑える効果が期待できるという考え方です。価格の変動を気にせず、淡々と買い続けることで、感情に左右されない投資が可能です。この仕組みは、図解で示すとより分かりやすいでしょう。

積立投資の主なメリットは以下の通りです。

なぜ経済危機時に積立投資を考えるのか?

経済危機時には市場価格が大きく変動し、資産価格が下落することが多くあります。一見すると投資を始めるには怖い時期に思えるかもしれません。しかし、長期的な視点で見ると、経済危機による価格下落は、将来の値上がりを期待して「安く買う」ことができる機会と捉えることもできます。

積立投資であれば、毎月決まった金額を投資するため、価格が下落している時期には、同じ金額でより多くの量を買い付けることになります。これは、経済が回復し価格が上昇した際に、より大きなリターンに繋がる可能性があります。ただし、これはあくまで長期的な視点に立った考え方であり、短期的な値動きを予測したり、下落がすぐに止まることを保証するものではありません。

不安な時期だからこそ、短期的な感情に流されず、長期的な視点でコツコツと資産を積み上げていく積立投資は、初心者にとって有効な選択肢の一つとなり得ます。

積立投資を始める前の準備

積立投資を始める前に、いくつか準備しておきたいことがあります。

  1. 生活防衛資金の確保: 万が一の失業や病気、急な支出に備えるための「生活防衛資金」が十分に確保できているかを確認しましょう。一般的には、生活費の3ヶ月〜1年分程度が目安とされています。この資金がない状態で投資に回してしまうと、予期せぬ事態が起きた際に投資資金を取り崩さざるを得なくなり、損失を確定させてしまう可能性があります。生活防衛資金の確保は、経済危機時の基本対策として非常に重要です。
  2. 無理のない積立金額の設定: 毎月の積立金額は、手取り収入や支出を考慮し、無理なく継続できる金額に設定しましょう。最初は少額から始め、慣れてきたら金額を増やすことも可能です。家計簿アプリなどを活用して、現在の収支を正確に把握することをおすすめします。
  3. 投資の目標設定: 何のために積立投資をするのか、漠然とした目標でも良いので考えてみましょう(例:老後資金、住宅購入の頭金など)。目標があると、投資を続けるモチベーションに繋がります。

具体的な積立投資の始め方

準備ができたら、いよいよ積立投資を始めるステップです。

  1. 積立投資ができる場所を選ぶ: 積立投資は主に証券会社や銀行で始めることができます。特に、インターネット証券会社は手数料が比較的安く、取り扱い商品も豊富なので、初心者の方にもおすすめです。近年では、スマホアプリで手軽に口座開設や取引ができる証券会社も増えています。具体的な操作画面を見ながら手続きできると、より安心できるかもしれません。
  2. 投資枠を選ぶ: 「NISA(ニーサ)」や「つみたてNISA」といった非課税制度を活用できるか検討しましょう。これらの制度を利用すると、投資で得た利益にかかる税金が非課税になるため、効率的に資産形成ができます。特につみたてNISAは、長期・積立・分散投資に適した商品が対象となっており、初心者の方にもおすすめです。
  3. 商品を選ぶ: 積立投資の対象となるのは、主に投資信託やETF(上場投資信託)です。初心者の方は、複数の資産(国内外の株式や債券など)に分散投資しているインデックスファンドなどがおすすめです。特定の資産やテーマに集中投資するファンドは、価格変動リスクが高い場合があるため、最初は慎重に選びましょう。商品の選び方については、各証券会社のウェブサイトや解説記事などを参考にしてください。
  4. 積立設定をする: 証券口座を開設し、商品を選んだら、毎月の積立金額と積立日を設定します。一度設定すれば、指定した銀行口座から自動的に引き落とされ、商品の買い付けが行われます。

続ける上での注意点

積立投資は長期で続けることで効果が期待できます。経済危機下では市場が大きく動くこともありますが、短期的な価格変動に一喜一憂せず、設定した積立を淡々と続けることが大切です。定期的に(年に一度など)積立金額や商品の見直しを行うことは有効ですが、頻繁に設定を変えたり、市場が大きく動くたびに売買したりすることは避けましょう。

まとめ

経済危機は、私たちの経済的な基盤について考えさせられる機会でもあります。不安な気持ちになるのは当然ですが、冷静に状況を把握し、将来に向けた具体的な対策を始めることが重要です。

積立投資は、少額から始められ、自動で継続できるため、経済や投資に関する専門知識が少ない初心者の方でも取り組みやすい資産形成の方法です。経済危機による価格下落を長期的な視点で捉え、「安く買う」機会と考えることも可能です。

まずは、生活防衛資金の確認、家計の見直しから始め、無理のない範囲で積立投資の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。最初のステップは、証券口座の開設や積立設定の方法を調べてみることです。このコラムが、あなたの資産形成の一助となれば幸いです。