経済危機だからこそ始めたい!初心者向け「少額資産形成」の基本ステップ
はじめに:経済危機を「きっかけ」にする資産形成
経済危機と聞くと、多くの方が不安を感じるかもしれません。収入が減るかもしれない、物価が上がるかもしれない、貯金が目減りするかもしれない...。実際に、経済危機は私たちの生活や資産に様々な影響を与えます。
しかし、経済危機は必ずしもマイナスな側面ばかりではありません。特に、これから資産形成を始めようと考えている方にとっては、長期的な視点で見れば、資産を築くための一歩を踏み出す「きっかけ」になる可能性も秘めています。
この記事では、「経済危機を機に、そろそろ将来のために何か始めたいけれど、何から手をつけて良いか分からない」という初心者の方に向けて、少額から始められる資産形成の基本的な考え方と具体的なステップを分かりやすく解説します。
なぜ今、資産形成を考えるべきなのか?経済危機との関係
経済危機が発生すると、企業の業績が悪化したり、市場全体が冷え込んだりすることで、株式などの金融資産の価値が一時的に下落することがあります。これは、既に資産を持っている方にとっては痛手となりますが、これから資産形成を始める方にとっては、将来的な成長を見込んで比較的安価に資産を「買う」機会となる可能性も考えられます。
また、経済危機下では政府や中央銀行が経済を立て直すために様々な金融政策を行います。その結果、物価が上昇する(インフレーション、略してインフレ)リスクが高まることもあります。預貯金だけでは、物価上昇に利息が追いつかず、実質的に資産の価値が目減りしてしまう可能性があります。資産形成は、こうしたインフレリスクへの備えとしても重要な意味を持ちます。
もちろん、経済危機下での資産運用には注意も必要です。しかし、やみくもに恐れるのではなく、正しい知識を持って計画的に取り組むことが大切です。
資産形成を始める前に!最低限確認したいこと
資産形成は将来のための重要な一歩ですが、その前に確認しておくべきことがあります。
-
生活防衛資金は確保できていますか? 経済危機では、失業や減収といったリスクが高まります。万が一の事態に備え、当面の生活費(目安として生活費の3ヶ月〜1年分程度)をすぐに引き出せる預貯金として確保しておくことが非常に重要です。この「生活防衛資金」が不足している場合は、まずこれを貯めることを優先しましょう。資産運用は、この生活防衛資金とは別に、なくなっても当面の生活に困らない「余剰資金」で行うのが鉄則です。
- (図解があればより分かりやすい点:生活防衛資金と資産運用資金の関係性や、貯蓄〜資産形成のステップを図で示すと理解が深まります。)
-
現在の家計の状況を把握できていますか? 毎月の収入と支出をしっかり把握できていますか?家計簿アプリなどを活用して、何にいくら使っているのかを正確に知ることから始めましょう。無駄な支出を見つけて節約することは、資産形成に回せる資金を増やすための第一歩です。
-
借金や高金利ローンはありませんか? クレジットカードのリボ払いや消費者金融からの借入など、金利が高い借金がある場合は、資産運用よりもまず借金の返済を優先することをおすすめします。資産運用で得られるリターンよりも、借金で支払う利息の方が高いケースが多いからです。
これらの確認ができ、生活防衛資金を確保した上で、さらに将来のために資産を増やしたいという場合に、次のステップに進みましょう。
初心者向け!少額から始める資産形成の基本ステップ
生活防衛資金も確保し、家計の見通しも立ったところで、いよいよ具体的な資産形成の方法を見ていきましょう。難しそうに感じるかもしれませんが、少額から始められる簡単なステップがあります。
ステップ1: 目標設定 - 何のために、いつまでに、いくら?
漠然と「お金を増やしたい」ではなく、「何のために(例:老後資金、マイホーム購入頭金、教育費)、いつまでに(例:20年後、10年後)、いくらくらい必要か」といった具体的な目標を設定しましょう。目標額があると、毎月いくら積み立てれば良いのか、どのような方法が適しているのかが見えてきます。目標は途中で見直しても構いません。
ステップ2: 投資の種類を知る(超基本)
資産を増やす方法は預貯金だけではありません。代表的なものに以下のようなものがあります。
- 株式: 企業のオーナーになること。会社の利益に応じて配当金が出たり、会社の成長と共に株価が上がったりします。うまくいけば大きなリターンが期待できますが、会社の業績が悪化すると株価が下がるリスクもあります。
- 投資信託: 多くの投資家からお金を集め、運用の専門家が株式や債券など様々な資産に投資・運用する金融商品です。「ファンド」とも呼ばれます。少額から分散投資ができるのが特徴で、初心者に向いていると言われます。
- 債券: 国や企業にお金を貸すこと。満期まで持っていれば、原則として最初に決めた利息(クーポン)と元本が戻ってきます。株式に比べてリスクは低い傾向がありますが、その分リターンも控えめです。
どの資産も、価格が変動するリスク(元本割れのリスク)があることを理解しておくことが重要です。 * (図解があればより分かりやすい点:預貯金、債券、投資信託、株式といった資産ごとのリスクとリターンの大まかな関係性を示す図は、違いを理解するのに役立ちます。)
ステップ3: おすすめの制度を知る(NISA・iDeCo)
初心者の方が少額から資産形成を始める上で、ぜひ活用を検討したいのが、国が用意している税制優遇制度です。
- NISA(ニーサ・少額投資非課税制度): 投資で得られた利益(配当金や売却益)に対して、通常かかる約20%の税金がかからない制度です。年間投資枠の上限はありますが、比較的自由に売買でき、必要になったらいつでも引き出せます。2024年から新しいNISA制度が始まり、より使いやすくなりました。
- iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金): 公的年金に加えて、自分で掛金を積み立てて運用し、原則として60歳以降に受け取る私的年金制度です。最大のメリットは、掛金が全額所得控除の対象となり所得税・住民税が軽減されること、運用益が非課税になること、受け取る時にも税制上の優遇があることです。ただし、原則60歳まで引き出せないという制約があります。
どちらの制度も、長期的な資産形成を税金面でサポートしてくれます。ご自身の目標やライフプランに合わせて、どちらか一方、あるいは両方の活用を検討してみましょう。 * (図解があればより分かりやすい点:NISAとiDeCoの主な違い(非課税対象、積立上限、引き出し制限など)を比較表で示すと、読者は自分に合った制度を選びやすくなります。)
ステップ4: 具体的な商品選びと投資スタイル
数ある金融商品の中から、初心者が少額から始めるのに向いているのは、一般的に「投資信託」であり、特に「積立投資」と「分散投資」を組み合わせた方法です。
- 積立投資: 毎月一定額を、特定の投資信託などに自動で積み立てていく方法です。価格が高い時は少なく買い、安い時は多く買うことになるため、平均購入単価を抑える効果(ドルコスト平均法)が期待できます。感情に左右されずに続けられるのもメリットです。例えば、毎月5,000円や1万円といった少額から始めることができます。
- 分散投資: 投資対象を一つの商品や地域に絞らず、複数の種類(株式、債券など)や地域(国内、海外)に分けて投資する方法です。どれか一つの資産や地域が値下がりしても、他の資産でカバーできる可能性があり、リスクを軽減する効果があります。「卵を一つのカゴに盛るな」という格言でよく例えられます。
初心者の方は、特定の企業ではなく、様々な企業の株式や債券にまとめて投資する「投資信託」の中から、特に「インデックスファンド」と呼ばれるものを選ぶのがおすすめです。インデックスファンドは、日経平均株価や米国のS&P500といった特定の指数と同じような値動きを目指すもので、仕組みが分かりやすく、手数料(信託報酬)が低い傾向があります。
ステップ5: 証券会社の選び方と口座開設
NISAやiDeCoを利用したり、投資信託を購入したりするには、証券会社などで専用の口座を開設する必要があります。
初心者の方には、手数料が比較的安く、インターネット上で手続きや取引が完結する「ネット証券」がおすすめです。多くのネット証券では、NISAやiDeCoにも対応しており、少額からの積立投資も可能です。
証券会社を選ぶ際は、以下の点をチェックすると良いでしょう。
- 手数料: 買付手数料や信託報酬(投資信託を保有している間にかかる運用管理費用)、売却手数料など。
- 取扱商品: 自分が投資したいと考えている投資信託などが揃っているか。
- 使いやすさ: ウェブサイトやスマホアプリの操作性、情報提供の充実度など。
- サポート: 電話やチャットでの問い合わせ体制。
ネット証券の口座開設は、スマートフォンやパソコンから申し込め、本人確認書類などをアップロードすれば手続きできます。(動画で具体的な操作画面を見せると読者は安心するかもしれません。)
経済危機下で資産形成を始める際の注意点
経済危機のような先行きが不透明な状況で資産形成を始める際には、特に以下の点に注意が必要です。
- 短期的な値動きに一喜一憂しない: 経済危機下では、資産価格が大きく変動する可能性があります。目の前の価格変動に慌てて売買せず、設定した目標に向かって長期的な視点を持ち続けることが大切です。
- 無理のない範囲で行う: 必ず余剰資金で行い、生活費に手をつけることがないようにしましょう。途中で引き出す必要がない資金で運用することが、長期投資を続けるための鍵です。
- 情報を鵜呑みにしない: 経済に関するニュースや専門家の意見は参考にしつつも、それが全て正しいとは限りません。様々な情報を比較検討し、最終的にはご自身の判断で行動することが重要です。不安な場合は、まず少額から始めるのが賢明です。
- 定期的に見直す: 設定した目標や、投資している商品の状況は、定期的に見直しましょう。ライフプランの変化に合わせて運用計画を修正することも必要です。
まとめ:不安を力に変えて、未来への一歩を踏み出そう
経済危機は確かに不安を引き起こしますが、同時に、これからの自分の経済的な将来について真剣に考え、具体的な準備を始める良い機会でもあります。
「大きな資産がないから関係ない」「難しそうだから無理」と諦める必要はありません。この記事で紹介したように、少額から、初心者向けの制度を活用して、リスクを抑えながら資産形成を始める方法は存在します。
まずは、ご自身の家計状況を確認し、生活防衛資金を確保することから始めましょう。そして、将来のために少しずつでも余剰資金を資産形成に回していくことを検討してみてください。焦る必要はありません。最初の一歩を踏み出すことが、将来の経済的な安定につながります。不安を抱えたまま立ち止まるのではなく、学びながら、できることから着実に進んでいきましょう。