【初心者向け】経済危機で投資を始める前に考える:『自分に合った方法』を見つける3つのステップ
経済危機を機に「投資」に興味を持ったあなたへ
経済の先行きが不透明になり、「このままで大丈夫だろうか?」と漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。収入の不安や物価の上昇といったニュースに触れ、「自分のお金にも働いてもらわないと」と、初めて投資に興味を持ったという方もいるのではないでしょうか。
経済危機は、確かに私たちの生活に影響を与える可能性があります。しかし、だからといって焦ってすぐに投資を始めなければならない、というわけではありません。むしろ、不安な時期だからこそ、冷静に、そして着実に、自分に合った方法で準備を進めることが大切です。
投資は、適切に行えば将来の資産形成に役立つ手段となり得ますが、リスクも伴います。特に経済危機のような時期は、市場の変動が大きくなることもあります。だからこそ、「なんとなく良さそうだから」とか「周りがやっているから」といった理由ではなく、しっかりと自分自身と向き合い、理解した上で始めることが重要です。
この記事では、経済危機をきっかけに投資に興味を持った金融・経済初心者の方向けに、失敗しないために投資を始める前に考えるべき3つのステップを、分かりやすく解説します。
ステップ1:なぜ投資をする?「お金の目的」と「いつ必要か」を考える
投資を始める前に、まず立ち止まって考えていただきたいのは、「なぜ、何のためにお金を増やしたいのか?」ということです。投資はあくまで、あなたの将来の目標を達成するための「手段」です。目的がはっきりしないまま始めると、途中で迷ったり、不要なリスクを取ってしまったりする可能性があります。
- 「お金の目的」を明確にする
- 将来の漠然とした不安を解消したい
- 老後の生活資金を準備したい
- 数年後の結婚資金や住宅購入の頭金を貯めたい
- 教育資金を用意したい
- 緊急時に備える資金を増やしたい(ただし、これは優先度が低い場合があります。まずは後述する生活防衛資金を優先しましょう)
これらの目的によって、投資できる期間や、どのくらいのリスクを取れるかが変わってきます。
- 「いつ、そのお金が必要か」を考える
- 近い将来(数年以内)に使う予定があるお金なのか?
- 10年後、20年後、あるいはもっと先の将来に使うお金なのか?
例えば、数年後に明確な使い道があるお金は、価格変動の大きい投資には向かない可能性が高いです。一方、使うのがずっと先のお金であれば、一時的に価値が下がっても回復を待つ時間があるため、多少のリスクを取ることも検討しやすくなります。
このように、「何のために、いつ必要なお金か」を具体的に考えることが、あなたに合った投資方法を見つける最初のステップです。紙に書き出してみるのも良いでしょう。
ステップ2:どのくらいのリスクなら受け入れられる?「自分だけのリスク許容度」を知る
投資には「リスク」がつきものです。「リスク」と聞くと「危険なこと」と考えがちですが、金融の世界では主に「価格の振れ幅の大きさ」を意味します。リスクが大きいほど、短期間で大きく増える可能性もあれば、大きく減る可能性もあります。逆にリスクが小さいほど、価格の振れ幅は小さくなりますが、大きく増える可能性も低くなります。
自分に合った投資方法を選ぶためには、あなたが「どのくらいの価格の振れ幅なら受け入れられるか」を知ることが非常に重要です。これを「リスク許容度」と呼びます。
あなたのリスク許容度は、以下の要素によって変わります。
- 年齢やライフステージ: 若く、まだ長く働く期間がある人ほど、一時的な損失から回復する時間があるため、比較的高いリスクを取れる傾向があります。
- 収入や資産状況: 安定した収入があり、十分な生活防衛資金がある人ほど、投資に回せるお金の割合が多くなり、リスクを受け入れやすくなります。
- 投資経験: 投資経験が少ないうちは、予期せぬ値動きに戸惑うことも多いため、まずはリスクの低いものから始める方が安心できるでしょう。
- 性格: 損失が出た時に眠れなくなるタイプか、気にせず放っておけるタイプかなど、あなたの心理的な耐性も重要です。
例えば、「投資したお金が一時的に20%減っても耐えられるか? それとも10%減るのも嫌か?」と自問自答してみることで、おおよそのリスク許容度が見えてくることがあります。この概念は、具体的な過去の値動きのグラフなどで見てみるとより理解しやすいでしょう。(図解があればより分かりやすい点)
また、リスクとリターンは表裏一体です。「ローリスク・ハイリターン」は基本的に存在しません。高いリターンを目指すなら、それに見合うリスクを受け入れる必要があることを理解しておきましょう。(動画でこの関係性を解説すると分かりやすいでしょう。)
経済危機下では、市場の変動が大きくなる傾向がありますが、だからといって必要以上にリスクを避ける必要はありません。ご自身の状況と心理的な耐性を踏まえ、「これくらいの値動きなら、たとえ損失が出ても冷静でいられる」という範囲を見つけることが大切です。
ステップ3:目的とリスク許容度に合った「投資対象」と「方法」を選ぶ
ステップ1で考えた「お金の目的」と「いつ必要か」、そしてステップ2で確認した「リスク許容度」を踏まえて、いよいよ具体的な投資対象や方法を選びます。
代表的な投資対象には、以下のようなものがあります。
- 預貯金: ほとんどリスクはありませんが、増えるスピードは非常にゆっくりです。経済危機時の緊急資金には最適ですが、長期的な資産形成には不向きです。
- 投資信託: 多くの人から集めた資金をまとめて、プロが国内外の株式や債券などに分散して投資する商品です。これ一つで分散投資ができるため、初心者におすすめされることが多いです。様々な種類があり、リスクの大きさも幅広いです。
- 株式: 企業のオーナーになるようなイメージです。企業の業績によって価格が大きく変動する可能性があり、投資信託に比べてリスクは高めです。
- 債券: 国や企業にお金を貸し、利息を受け取るイメージです。株式に比べて一般的にリスクは低い傾向がありますが、発行体の信用リスクなどがあります。
その他にも様々な投資対象がありますが、金融・経済初心者のうちは、まずは比較的取り組みやすく、分散効果が期待できる投資信託から検討するのがおすすめです。
そして、投資を始める方法として、以下の2つの原則が非常に重要です。
- 長期投資: 短期間の値動きに一喜一憂せず、長い時間をかけて資産を育てる考え方です。経済危機による一時的な下落も、長期で見れば回復、成長の過程の一部と捉えることができます。
- 分散投資: 一つのものに集中せず、様々な資産(国、地域、種類など)に分けて投資することです。これにより、どこか一つの調子が悪くても、全体の損失を抑える効果が期待できます。
- 積立投資: 毎月決まった金額を、決まったタイミングで購入する方法です。価格が高い時は少なく買い、安い時は多く買うことになるため、長期的に見れば平均購入単価を抑える効果(ドルコスト平均法)が期待できます。特に経済危機や相場が不安定な時期でも、感情に左右されずに淡々と続けられる有効な方法です。
これらの原則を踏まえた上で、少額から始められる積立投資を、NISA(つみたて投資枠)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税制優遇制度を活用して行うのが、多くの初心者にとって取り組みやすい方法とされています。これらの制度の詳細は別の記事で解説しますが、まずは存在を知っておくと良いでしょう。
投資対象や方法を選ぶ際は、ステップ1で考えた「目的と期間」と、ステップ2の「リスク許容度」に照らし合わせて、無理のない範囲で選びましょう。分からないことは、金融機関のウェブサイトやセミナー、書籍、信頼できる情報サイトなどでじっくり調べてから判断することが大切です。
まとめ:焦らず、まずは「知る」ことから始めましょう
経済危機のような不確実な時期に、「投資を始めなきゃ」と焦りを感じる必要はありません。大切なのは、不安な気持ちに流されるのではなく、冷静に自分の状況と向き合い、正しい知識を持って準備を進めることです。
今回ご紹介した3つのステップ、 1. 「お金の目的」と「いつ必要か」を考える 2. 「自分だけのリスク許容度」を知る 3. 目的とリスク許容度に合った「投資対象」と「方法」を選ぶ
これらは、投資を始める前の、自分自身に対する「問いかけ」です。最初から完璧に答えが出なくても大丈夫です。まずは、これらの問いについて考え始めること、そして、信頼できる情報源から学び始めること。それが、経済危機下で賢く、そして安心して投資と向き合うための最初の一歩となります。
焦らず、あなたのペースで、着実に準備を進めていきましょう。