【初心者向け】経済危機でも慌てない!投資信託の基本とチェックポイント
経済危機が発生すると、「自分が持っている資産はどうなるのだろうか」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。特に投資信託を保有している方や、これから資産形成を始めたいと考えている方にとっては、その影響が気になるところかと思います。
この記事では、金融・経済の知識があまりない初心者の方に向けて、経済危機時でも慌てずに投資信託と向き合うために知っておきたい基本的な仕組みと、確認すべきポイントを分かりやすく解説します。
投資信託とは?超基本をおさらい
まず、投資信託がどのようなものか、基本的な仕組みをおさらいしましょう。
投資信託とは、多くの投資家から集めたお金を一つにまとめ、運用の専門家が株式や債券など、さまざまな資産に投資・運用する金融商品です。運用成果は、投資家それぞれの投資額に応じて分配されます。
- 少額から始めやすい: 多くの投資信託は、1万円程度、あるいは毎月数百円から積立投資が可能です。
- 分散投資: 集めた資金を国内外の様々な資産に分けて投資するため、一つの資産だけに投資するよりもリスクを分散できる効果が期待できます。
- 専門家にお任せ: 個別銘柄の選定や売買のタイミングなどに悩むことなく、プロに運用を任せることができます。
ただし、投資信託は元本が保証されている金融商品ではありません。運用の成果によっては、投資した金額を下回る(元本割れ)リスクがあることを理解しておく必要があります。
経済危機が発生すると、投資信託はどうなる?
経済危機が発生すると、一般的に景気が悪化し、企業業績の悪化懸念などから株式市場が不安定になったり、為替が大きく変動したりします。
投資信託は、このような市場の影響を直接受けます。投資している資産の価格が下がれば、投資信託の「基準価額」(一口あたりの値段のようなもの)も下落する可能性があります。
「基準価額が下がったら、自分の資産は減ってしまうのか?」と心配になるのは当然です。確かに短期的には資産価値が目減りして見えるかもしれません。しかし、すぐに投資信託の価値がゼロになるわけではありませんし、経済が回復に向かえば、基準価額も再び上昇する可能性があります。
重要なのは、どのような資産に投資している投資信託なのかによって、経済危機時の影響の受け方が異なるという点です。例えば、株式を中心に投資しているファンドは市場変動の影響を受けやすい一方、比較的安定しているとされる債券を中心に投資しているファンドは影響が小さい場合もあります。
経済危機時、初心者が見ておくべき「投資信託のチェックポイント」
経済危機が発生し、投資信託の基準価額が変動しているとき、初心者の方が冷静に対応するために確認したいポイントをいくつかご紹介します。
1. 自分が持っている投資信託の種類を確認する
まず、自分がどのような投資信託を持っているかを確認しましょう。
- どんな資産(国内株式、外国株式、国内債券、外国債券、不動産投信など)に投資していますか?
- 一つの国や地域に集中していますか?それとも分散されていますか?
- バランス型など、複数の資産クラスに分散投資しているファンドですか?
これは、購入時の資料や証券会社のウェブサイト、アプリなどで確認できます。投資信託の種類によって、経済危機による影響の性質や大きさが異なります。
2. 目論見書や運用報告書を見てみる(難しければ概要だけでも)
購入時に受け取った目論見書(投資信託の説明書)や、定期的に送られてくる運用報告書には、そのファンドの運用方針、投資対象、リスク、手数料などが詳しく書かれています。
専門用語が多くて全てを理解するのは難しいかもしれませんが、「何に投資しているのか」「どんなリスクがあるのか」といった基本的な点だけでも改めて確認してみる価値はあります。もし紙の資料が手元になければ、運用会社のウェブサイトでも閲覧できます。
もし目論見書を読むのがハードルが高いと感じる場合は、販売会社のウェブサイトに掲載されている商品紹介ページなど、より分かりやすい情報から概要を掴むだけでも良いでしょう。
3. 基準価額の推移を長期で見てみる
経済危機時には基準価額が大きく下落することがありますが、短期的な変動に一喜一憂しないことが重要です。
過去の経済危機時やその後の回復期を含め、基準価額がどのように推移してきたかを長期的な視点(例えば5年、10年といった期間)で見てみましょう。グラフなどで確認すると、一時的に下落しても、その後時間をかけて回復しているケースがあることが分かります。
「リーマンショック後どうだったか」「東日本大震災後どうだったか」など、過去の大きな出来事の際にどのような値動きをしたかを振り返ることも参考になります。(注:過去の実績は将来の成果を保証するものではありません)
4. 積立投資を続けている場合は「ドルコスト平均法」を思い出す
毎月決まった金額を投資している積立投資の場合、基準価額が下落している局面は、同じ金額でより多くの口数を購入できるチャンスと捉えることができます。これは「ドルコスト平均法」と呼ばれる考え方です。
基準価額が高いときには少なく、低いときには多く買い付けることになるため、平均購入単価を抑える効果が期待できます。経済危機時でも、生活に無理のない範囲であれば、淡々と積立を続けることが長期的な資産形成において有効な戦略となる場合があります。
5. 分配金について理解する
投資信託によっては、運用益の一部や元本を投資家に「分配金」として支払うものがあります。分配金が支払われると、その分基準価額は下がります。
経済危機時には、分配金が減額されたり、支払われなくなったりすることもあります。また、基準価額が下がっている中で無理に分配金を出すと、元本の一部を取り崩す「特別分配金」となる場合もあります。分配金に惑わされず、ファンド全体の価値(基準価額)と合わせて見ることが大切です。
経済危機時でも冷静に対応するための考え方
経済危機によって投資信託の評価額が下がっているのを見ると、不安になって「今すぐ売ってしまいたい」と思うかもしれません。しかし、慌てて売却してしまうと、損失を確定させてしまうことになります。
- 長期投資の視点を持つ: 資産形成は、短期的な値動きに一喜一憂せず、10年、20年といった長い目で取り組むことが基本です。経済危機は一時的なものである可能性も高く、回復期に備える視点が重要です。
- 生活防衛資金の確保: 投資は、万が一のことがあってもすぐに引き出す必要のない「余裕資金」で行うことが大前提です。経済危機に備えて、まずは半年〜1年分の生活費となる「生活防衛資金」を確保できているか確認しましょう。
- 信頼できる情報源: 不確かな情報やSNS上の煽りなどに惑わされず、金融機関や運用会社、公的機関など、信頼できる情報源から正確な情報を得るようにしましょう。
- 不安なら相談も検討: どうしても不安が拭えない場合は、購入した金融機関の窓口や、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみるのも良いでしょう。
まとめ:まずは「知る」ことから始めましょう
経済危機時における投資信託の変動は、特に初心者にとっては不安を感じやすい出来事です。しかし、その仕組みや経済危機時の影響、そして冷静に対応するためのチェックポイントを知っておくことで、漠然とした不安を減らし、適切な判断ができるようになります。
まずは、ご自身が保有している投資信託について「何に投資しているのか」「リスクはどんなものか」といった基本的な点を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。そして、積立投資を続けている方は、無理のない範囲で継続することも有効な対策の一つとなり得ます。
経済危機は誰にとっても避けたいものですが、これを機にお金や資産運用について学び、冷静に対応するための知識を身につけることは、長期的な視点で見れば大きなプラスとなるでしょう。