経済危機に備える第一歩:今すぐできる「自分の資産リスト」作成ガイド
経済危機への備え、まずは「自分のお金」を知ることから
経済に関するニュースを目にするたび、漠然とした不安を感じることはありませんか?「もし景気が悪くなったら、自分のお金はどうなるのだろう」「何をすればいいのだろう」と悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
経済危機への備えというと、難しい投資や節約術を思い浮かべるかもしれませんが、最初の一歩として最も大切なのは、「自分のお金の全体像」を正確に把握することです。
「自分のお金の全体像」とは、今、自分が持っているお金が、どのような形で、どこに、どれくらいあるのかを一覧にしたものです。これを明確にすることで、漠然とした不安を具体的な数字に変え、取るべき対策が見えてきます。
この記事では、金融や経済の専門知識がない方でも簡単にできる、「自分の資産リスト」の作成方法を解説します。
なぜ「自分の資産リスト」作成が重要なのか?
なぜ、経済危機への備えとして、まず資産リストを作成することが重要なのでしょうか。主な理由は以下の通りです。
- 漠然とした不安の解消: 自分がいくら、どこに持っているかが分かれば、「ゼロではない」「これだけある」という安心感につながります。不安の多くは「分からない」ことから生まれます。
- 具体的な対策の土台作り: 自分の資産状況が分かれば、生活防衛資金が不足しているのか、特定の資産に偏りすぎているのかなど、次の対策を考える上での明確な基準ができます。どこから手をつければ良いか分からない状態から抜け出せます。
- 「忘れがちな資産」の発見: 複数の銀行に預金があったり、昔加入した保険があったり、会社で確定拠出年金に加入しているものの内容を把握していなかったりと、意外と自分のお金がどこにあるかを把握しきれていない場合があります。リスト化することで、こうした「忘れがちな資産」を発見できます。
- 目標設定の明確化: 将来的にいくら貯めたい、どのような資産を持ちたいといった目標を設定する際に、現在の状況が明確な出発点となります。
「資産」って何を指すの?初心者向けの考え方
「資産」と聞くと、不動産や株といった大きなものを想像するかもしれませんが、ここではもっとシンプルに考えてみましょう。経済危機に備えるという観点では、主に以下の二つに分類されるお金を「資産」と捉えます。
- 今すぐ、または比較的短期間で使えるお金:
- 銀行の普通預金、定期預金
- 現金
- 電子マネーの残高(高額な場合)
- 将来のために準備しているお金:
- 株式、投資信託などの証券口座にあるお金
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)や企業型確定拠出年金(DC)
- 生命保険や学資保険などの解約返戻金(保険の種類によります)
- 財形貯蓄
- 勤務先の持ち株会など
まずは、この中でも特に身近な「銀行預金」「証券口座」「保険」「年金」あたりを中心にリスト化してみるのがおすすめです。
今すぐできる!「自分の資産リスト」具体的な作成ステップ
さあ、実際に自分の資産リストを作成してみましょう。難しい作業は一切ありません。以下のステップで進めてみてください。
ステップ1:準備するもの
まずは、リストを作るためのツールを準備します。
- ノートや紙: 手書きで簡単に始めたい方におすすめです。
- PCやスマートフォンの表計算ソフト/アプリ: Excel、Google スプレッドシート、Numbersなど。合計金額の計算などが自動でできて便利です。
- 家計簿アプリの資産管理機能: 一部の家計簿アプリには、銀行口座や証券口座と連携して資産状況を自動で集計してくれる機能があります。(連携に抵抗がある場合は、手入力でも構いません)
一番使いやすいと感じるもので始めてみましょう。この概念は、シンプルに表形式で作成すると全体像が把握しやすいため、図解で示すとより理解しやすいでしょう。
ステップ2:リストの項目を決める
リストに含める基本的な項目を決めます。まずはシンプルに以下の項目から始めてみましょう。
- 資産の種類: 例)普通預金、定期預金、投資信託、生命保険(終身)、確定拠出年金など
- 金融機関名/会社名: 例)〇〇銀行、△△証券、□□生命、勤務先名など
- 現在の金額: リストを作成する時点での最新の残高や評価額
- 備考: 口座番号(記載は任意ですが、まとめておくと便利)、加入時期、特別な情報(例:積立設定あり、解約返戻金〇円など)
ステップ3:情報を集める
次に、リストを埋めるための情報を集めます。
- 銀行預金: 通帳やインターネットバンキングで残高を確認します。
- 証券口座: 証券会社のウェブサイトやアプリにログインし、保有している投資信託や株式の評価額を確認します。(各社のマイページへのログイン方法は、動画で具体的な操作画面を見せると読者は安心するかもしれません。)
- 保険: 保険証券を確認します。解約返戻金の金額は、契約内容によって異なりますので、必要であれば保険会社に問い合わせて確認します。
- 年金(確定拠出年金など): 運営管理機関から送られてくる通知や、ウェブサイトで運用状況や積立金額を確認します。企業型の場合は、勤務先の人事・総務部に確認が必要な場合もあります。
- その他: 財形貯蓄や勤務先の持ち株会なども、通知や社内システムで確認します。
全ての情報を一度に集めるのが大変であれば、まずは預金から、次に証券口座、というように少しずつ進めても大丈夫です。
ステップ4:リストにまとめる
ステップ2で決めた項目に従って、ステップ3で集めた情報をリストにまとめます。
| 資産の種類 | 金融機関名/会社名 | 現在の金額(〇年〇月〇日現在) | 備考 | | :----------------- | :---------------- | :----------------------------- | :------------------------------------- | | 普通預金 | 〇〇銀行 A支店 | 〇〇円 | 生活費口座 | | 定期預金 | △△銀行 | 〇〇円 | 満期 〇年〇月 | | 投資信託 | □□証券 | 〇〇円 | 積立設定あり、評価損益 ±〇〇円 | | 生命保険(終身) | ××生命 | 解約返戻金 〇〇円 | 加入時期 〇〇年、払込期間 あと〇年 | | 確定拠出年金(iDeCo)| 〇〇証券(運営管理)| 〇〇円 | 毎月積立中 | | 現金 | 自宅 | 〇〇円 | (おおよその金額でOK) | | 合計 | | 合計金額 〇〇円 | |
このようにリスト化することで、自分がいくらの資産を、どのような形で持っているのかが一目で分かります。合計金額を出すことで、漠然とした不安が具体的な数字に変わります。
ステップ5:定期的に見直す
作成した資産リストは、一度作って終わりではありません。預金残高や投資の評価額は日々変動しますし、保険の契約内容を見直したり、新たな資産が増えたりすることもあるでしょう。
年に1回や、半年に1回など、自分で見直す頻度を決めて、最新の情報に更新することをおすすめします。見直しのタイミングを習慣化することで、常に自分のお金との向き合い方を意識することができます。
リスト作成後の活用法
資産リストが完成したら、それをどう活用すれば良いでしょうか。
- 生活防衛資金の確認: 合計資産のうち、すぐに使える預金などが、もしもの時の生活費として十分かを確認します。不足している場合は、リストを見ながら「どこから貯蓄に回せるか」を検討する土台になります。
- 資産の偏りの把握: 預金ばかり、あるいは特定の投資商品ばかりに偏っていないかを確認します。リスク分散の必要性を考えるきっかけになります。
- 将来設計の具体化: 将来の目標(住宅購入、教育資金、老後資金など)に対して、現在の資産合計がどの程度の位置にあるのかを把握し、今後どのようなペースで資産形成を進めるべきかを考える材料になります。
まとめ:最初の一歩を踏み出そう
経済危機への備えは、一朝一夕にできるものではありません。しかし、「自分のお金の全体像」を把握するための資産リスト作成は、誰でもすぐに始められる最初の一歩です。
漠然とした不安を具体的な行動に変え、自分のお金と向き合う時間を持ちましょう。今回作成した資産リストは、今後の家計管理や資産形成を進める上での大切な基盤となります。
この記事が、あなたが経済危機への備えを始めるための一助となれば幸いです。